サラリーマンを描かせたら右に出るものはいない(当サイト比)、池井戸潤さんが描く日本のサラリーマン劇「空飛ぶタイヤ」。
正直わたしは池井戸潤さんの本を読むのが初めてだったので最初は文庫本で(割と分厚い)上下巻を読み切れるか不安だったのですが…。
読み始めてみたら、すごくテンポがよくて面白かったです!
そんな「空飛ぶタイヤ」のあらすじと感想を紹介、後半は結末をネタバレしちゃいます!
空飛ぶタイヤのあらすじ
主人公は運送会社「赤松運送」を親から引き継いだ二代目社長、赤松。
ある日、赤松運送に事件が起きます。なんと荷物の運送中に突然トラックのタイヤが外れて、飛んで行ったタイヤが近くを歩いていた親子を直撃。母親が亡くなってしまったのです……
警察はこの事故を「整備不良」とし、赤松運送は会社が潰れる危機に直面します。
しかし赤松は黙ってその結果を受け入れることはしませんでした。ここから赤松社長と赤松運送の壮絶な戦いが始まります……
これがざっくりとしたあらすじです。
連続ドラマ向けのストーリーですね。
章のタイトルが面白い!
実際「空飛ぶタイヤ」は章ごとのタイトルがドラマさながら。まるでドラマの予告で流れる、1話1話につけられているタイトルのようなんです。
これもテンポよく読み進められる理由なんですかね。その章でどんな展開が起こるのか非常にワクワクします。
空飛ぶタイヤの感想
感想としては、まあ普通に面白いかなというところです。
わたしは20代女性なので、正直今年一番心に残る一冊!とまでの読み応えはありませんでした。
基本的に30代以上の男性しか出てこないし、恋愛要素などは一切ないので若い人にはあんまり向いてないと思います。
でもどこかの企業に一度でも勤めたことがある人なら、最後まで楽しく読めるんじゃないでしょうか。わたしもそんな感じでした。
社会の人間ドラマが面白い!
基本的に出てくるのが赤松社長を取り巻く各会社のサラリーマンたちなので、企業内や外との人間ドラマが主役。
思わず腹が立ってくるような社内政治や、会社の意向と自分の意志との狭間で揺れ動くサラリーマンなど、思わず先が気になっちゃう人間模様が「空飛ぶタイヤ」にはたくさん描かれてます。
2018年映画化予定=実写向き?
読みながら、これ実写向きというか、むしろ映像化される前提で書いてる作品なのかなと思ったのですが(池井戸潤さんはそういう書き方が多いんですかね?)。
2018年に映画化される予定だそうで、納得です。
主演はTOKIOの長瀬智也さん。小説を読んだ限りでは、赤松社長にしてはちょっとかっこよすぎるのかな…と思いますが、どうなるのか楽しみです。
サラリーマンにおすすめの小説
おすすめしたいのはやっぱりサラリーマンの皆さん。
「こういうやついるわ~~」「俺ってこいつに似てるかも…」そんな風に思ってしまうこと間違いなしです。
社会人歴がそこそこな私でさえ、こういうシーンがいくつもありました。
大企業で働くサラリーマンの奥さんにも
でも逆に、サラリーマンとして働いたことがない人にとっても、会社の組織というものをすごく想像しやすい作品だと思います。
俺の大変さをわかってくれない…と思っている旦那さんは、夫婦で読んでみてもいいかもしれません。
それではここからはネタバレに入ります。読みたくない方はお気をつけください!
結末をネタバレ!赤松運送はどうなるの?!
「空飛ぶタイヤ」では大きなどんでん返しなどは起きません。
自社のトラックが起こした事故について、整備不良と判断され会社が潰れる危機に直面した赤松運送。もちろん、一生懸命頑張ったけどそのまま潰れてしまいました、なんて結末はなしです!
最後には赤松社長の努力が報われます。赤松運送は罪の疑いが晴れ、めでたしめでたし。
↑このように書いたように「空飛ぶタイヤ」は結果を予想して読んでいくような本ではなく、結果に向かう過程を楽しむストーリーだといえます。その結末に向かうまでの人間ドラマが面白いんです。
何重にも重なる人間ドラマ
赤松運送と争う宿敵、リコールのはずのトラックを出荷していた東京ホープ。
その東京ホープのグループ会社であり赤松運送と取引していた東京ホープ銀行。
東京ホープ銀行に見放された後に助けられる、小さな都市銀行。
時間がニュースになったことがきっかけでいじめにあう赤松の息子と、それがきっかけで変わり始める家族の関係…。
「空飛ぶタイヤ」は赤松運送をとりまくすべての登場人物が主人公と言っても過言ではありません!
会社と自分とどっちが大事なのか
いつのまにか働く目的が会社のためでしかなくて、本当の意味で自分のためになってない人って、少なくないんじゃないでしょうか。
「空飛ぶタイヤ」ではこんなことを考えさせられます。自分のために歩きだそうと思わせてくれる本です。
仕事がしんどい人にも、今すごく仕事を頑張っている人にも読んでほしい。
軽く読み進められるけど得るものは少なくない作品でした。