暗黒女子

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お嬢様女子高の文学サークルを舞台に、女子高生たちが抱える闇を「ここまでやるか!」と描き切った今作品。

湊かなえさんの登場以降、一つのブームとなっているイヤミス業界の中でも、後味の悪さは随一です(笑)

2017年には世間を賑わせた清水富美加さん主演で映画化されたこともあり、今最も注目を集める話題作です。

ということで、今回は暗黒少女の簡単なあらすじ(※後半からネタバレ要素あり!)と、作品の解説を書いていこうと思います。

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暗黒女子のあらすじ

名門女子高で、最も美しくカリスマ性のある女生徒・いつみが死んだ。一週間後に集められたのは、いつみと親しかったはずの文学サークルのメンバー。ところが、彼女たちによる事件の証言は、思いがけない方向へ―。果たしていつみの死の真相とは?全ての予想を裏切る黒い結末まで、一気読み必至の衝撃作!

今作品はお嬢様学校の文学サークルの伝統行事である、「闇鍋朗読会」から物語がはじまります。

闇鍋朗読会ではメンバーそれぞれが具材を持ち寄り(清潔なものなら何でも可)、闇鍋をつつきながら自作の小説を朗読しあうというもの。

しかし今年はただの自作小説ではなく、一つのテーマが決められていました。

それは1週間前に死んでしまった、文学サークルの会長である「いつみの死の真相」という衝撃的な内容。

前会長のいつみは、ある日すずらんの花を握りしめて死んでしまったのだった。

こうして、いつみの跡を継いで会長となった、いつみの親友・小百合を含めた6人のメンバーは、それぞれの視点から見たいつみの死の真相を語っていくのでした。

暗黒少女の主な登場人物

白石 いつみ

聖母女子高等学院に通う3年生。父が学校のオーナーというだけでなく、才色兼備ながら他人への思いやりも強く、学校中の生徒から憧れを集めている。しかしある日すずらんの花を握りしめたまま、彼女は死んでしまった。

澄川 小百合

いつみと中学校からの親友。いつみが太陽なら自分は月のような存在というように、いつも彼女を支えていた。いつみの跡を継ぎ会長となった小百合は、闇鍋朗読会でいつみの死の真相を明らかにしようと試みる。

二谷 美礼

実家は貧乏ながらも奨学金制度を利用して聖母女子高等学院へ入学。いつみに本来学校で禁止されているアルバイトがばれてしまうが、いつみの弟の家庭教師を紹介してもらい、彼女に強い恩義を抱いている。

小南 あかね

料亭「こみなみ」の娘、料理の腕は確かで文学サークルでは、お菓子を作ってみんなに食べさせるのを生きがいとしてきた。料亭が火事になったことで、夢であった洋食屋の経営を諦めることになったが、いつみが作ったサロンのキッチンのおかげで、自由に料理を作ることができている。

ディアナ・デチェヴァ

ブルガリアから来た留学生。いつみがブルガリアへホームステイに訪れた際に仲良くなり、いつみへ友情以上の好意を抱いている。いつみの提案により、聖母女子高等学院に留学制度が導入され、第一号として念願の日本へやって来た。

古賀 園子

将来は亡くなった父と同じような意志を目指している。いつみに誘われて文学サークルに所属し、徐々に小説の面白さに気付く。いつみの父に頼み込んで解剖に立ち会わせてもらった経験から、いつみの父に恩を感じている。

高岡 志夜

中学3年生でライトノベル作家としてデビュー。いつみとは一緒にブルガリアへ短期留学へ行くなど、いつみを実の姉のように慕っていた。作中では最後に自作の小説小説を朗読している。

自作小説の簡単なあらすじ(※ネタバレ注意)

「居場所」二谷美礼

奨学金制度でお嬢様学校へ入学した二谷美礼は、周囲との生徒たちと馴染むことができず、自分の居場所を追い求めていた。

そんなとき、いつみが彼女を文学サークルに誘い、美礼に居場所を与えてくれたのだった。

それどころか、実家の家計が苦しい美礼のために、弟の家庭教師を学校公認のアルバイトとして紹介してくれたのだ。

美礼は次第にいつみへと絶対の忠誠を誓うようになっていく。

ある日、美鈴はいつみから同じサークルの古賀園子が、いつみの父と不倫していることを訊かされる。

そして二人で話し合いの場を設けるといった当日、いつみは死んでしまった。

美礼はいつみを殺した犯人として、すずらんの香水をつけた古賀園子を名指しにするのでした。

「マカロナージュ」小南 あかね

料亭「こみなみ」の娘であるあかねは、小さいころから料理作りに勤しんできた。

彼女の夢であった「こみなみ」2号店の立ち上げも、火事によって流され途方に暮れていたところ、いつみがサロンのキッチンや食材を自由に使わせてくれたのだった。

それは料理が生きがいのあかねにとっては天国のような環境で、そんな環境を与えてくれたいつみに深く感謝していた。

しかしある日、いつみから二谷美礼に弟の家庭教師をお願いしたところ、家で盗難が相次ぐようになったと相談を受ける。

あらためて美礼と話してみるといったいつみは、その日帰らぬ人となってしまった。

あかねはいつみから、すずらんの髪飾りを盗んだ二谷美礼を犯人として名指しした。

「春のバルカン」 ディアナ・デチェヴァ

ブルガリアに短期留学に来たいつみを、ディアナはホームステイ先として迎え入れた。

そして二人は固い友情を結び、ディアナは留学生として聖母女子高等学院へと招かれたのだった。

しかし彼女はある日、高岡志夜がいつみの首を絞めようとしている場面を目撃してしまう。

ライトノベル作家である高岡志夜は、いつみのストレートな批評が我慢できなかったのだろう。

彼女はすずらんの別名である「君影草」という小説を書いた、高岡志夜を犯人だと名指しする。

「ラミアーの宴」古賀園子

小さいころから医師を目指していた古賀園子は、いつみの父に頼んで昔解剖手術に立ち会ったことがあった。

それ以来、園子はいつみの父に恩返ししなければと考えており、文化祭の実行委員やパソコンの修理など、いつみの父のお手伝いを進んでやっていた。

そんなある日、ブルガリアからやってきたディアナが、いつみへ呪いをかけている姿を発見する。

学校一の論理的思考を持つ彼女だが、日に日に弱っていくいつみの姿を見て、ディアナの呪いが本物であることを確信する。

こうして学校に故郷の花だといってすずらんを植え付けた、ディアナを犯人として名指しするのであった。

「天空神の去勢」高岡志夜

中学3年生でライトノベル作家としてデビューした高岡志夜は、いつみのことを誰よりも慕っており、本当の姉妹のように仲良くしていた。

一緒に行ったブルガリア留学など、楽しい思い出は尽きなかった。

しかし体調を崩すことが多くなったいつみを見て、志夜はあかねが作るスイーツを食べるたびに体調を崩していたことを思い出す。

実はいつみは卒業すればサロンを閉鎖する考えで、それはあかねにとって生きがいを奪う行為に等しかった。

志夜はあかねの気持に理解を示しながらも、腕にすずらんのあざを持つあかねが犯人だと名指しするのであった。

各メンバーが発表する自作小説の内容は上記の通りです。

それぞれが違った人物を犯人だと名指ししており、誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているのか全く分からない状態。

そして最後に現会長である澄川小百合が自作小説を発表し、衝撃の事実がどんどん明らかになっていきます。

この続きはぜひ本を買って、あなたの目で確かめてみてください!

ということで、ここからはネタバレ要素を含みつつ、私なりの作品の解説を書いていこうと思います。

未読の方はとりあえず原作を読んでから、解説に目を通すことをおすすめします。

暗黒女子のネタバレ解説

それぞれの小説の違和感がお見事

正直言って、私は最後のオチが来るまで、各メンバーの書いた自作小説の出来は最悪だと思っていました(笑)

前の人が話したエピソードが都合よくリンクしすぎて、あまりにご都合主義すぎるのではないかと思ったわけです。

たとえば志夜が体育館の裏で、いつみとじゃれあっていたシーンなんて、どうでもいい話すぎてわざわざ小説に書くのは不自然すぎるじゃないですか!

しかし最後には、そんなもやもやもすっきり晴らしてくれました。

なるほど、メンバーそれぞれに疑いの目を持たせるために、あらかじめ話し合って書いていたのか、と。

そうなれば、本人にとってはどうでもいいエピソードでも、小説の中に出てくるのも自然ですよね。

そして一番難しい最後の作品を、プロである志夜に任せているあたりも、妙にリアルで面白いですね。

彼女の作品は怒涛の伏線回収で、不自然極まりないものでしたが(笑)

作中作の不自然さを、更なる伏線として利用するとは考えもしていませんでした。

闇鍋に入っていた具材って…?

最後に発表された小説の中では、鍋の中にいつみがすずらんの毒を仕込んでいるという話でしたが、最終的に鍋には毒は含まれていませんでした。

ふー、よかった、一安心といきたいところですが、それではわざわざ闇鍋をした意味がありませんよね。

闇鍋の中にはロレックスの限定品時計が入っていました。

これは去年、古賀園子が仕込んだもので、いつみが運よくゲットしたものと同じでした。

しかしどうして、二度と手に入らないと言われた限定品のロレックスが鍋の中に入っているのか。

もしかして、闇鍋の中の具材って…。

といったところで、この物語は終わりを迎えます。

「聖体と聖血を弟子に分け与えたキリストのように、みなさんといつみの魂は一体となりました」

淡々と語る小百合が恐ろしい。

いつみの動機に共感しづらい

話の構成やトリックなどは面白かったのですが、いつみの動機には共感しづらく、全体的にもやっとした終わり方になってしまいました。

どうしてもトリックを思いついたから、無理やりシチュエーションを作り出した感がぬぐえなかったです。

もちろんミステリー小説はトリックありきなんですが、もう少し必然性のある動機だったら納得もしやすく、もっと面白くなったと思います。

とはいえ、暗黒少女は最近のイヤミスの中でも、驚きの展開と衝撃のラストが際立っており、ミステリー好きでも充分楽しめる作品だと思います。

映画の方はまだ見ていませんが、原作とは違ったところもあるみたいなので楽しみにしています。

ということで、今回は新しいイヤミスの書き手・秋吉 理香子さんの「暗黒少女」のあらすじと解説をご紹介しました。

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