代償

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代償
2014年に発行するなり、大きな話題となった「代償」

読めば読むほど気が滅入るイヤミス要素と、事件の真相が明らかになっていくサスペンス要素が、いい塩梅で織り交ぜられた秀逸なミステリーです。

まさに読み始めれば、ページをめくる手が止まらなくなります。

2017年には小栗旬さん主演でドラマ化もされ、今後さらに注目を集めるであろう作品なので、未読の方は是非チェックしておきましょう。

今回はそんな伊岡瞬の代表作「代償」のあらすじとレビューをご紹介します。

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代償のあらすじ

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?衝撃と断罪のサスペンスミステリ。

代償は主人公・圭輔の悲惨な青春時代を描いた前半パートと、彼が大人になって弁護士として悪と立ち向かう後半パートに分かれています。

そして圭輔の人生を狂わせた諸悪の根源である達也に、友人・寿人と共に立ち向かっていくというストーリー。

前半部分では両親を火事で亡くしてしまった圭輔が、達也の家に引き取られ、全てを奪い取られていく過程が悲惨に描かれています。

友人の寿人がいなかったら、胸糞悪すぎて途中で読むのをやめたくなるレベルです(笑)

そして後半パートからは弁護士となった圭輔の元へ、達也の手紙が送られるところから、ストーリーは急展開を見せます。

なぜ達也は圭輔に弁護を依頼したのか、そして絶対に自ら手を下さないと言っていた達也がどうして容疑者として捕まってしまったのか。

ついに始まった裁判からは驚きの展開の連続で、一気に読み終わってしまうこと間違いなしです。

果たして凶悪な心を持つ達也に、代償を与えることはできるのか。

物語の結末はぜひ自分で読んで確かめてみてくださいね!

ということで、ここからは勝手ながら作品のレビューを紹介させていただきます。代償

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本物の悪・サイコパスを描く難しさ

今作品の最大の敵である達也は、決してかわいそうな悪役ではありません。

もちろん育った環境はお世辞にも恵まれていたとは言えませんが、彼の悪魔性は生まれ持ったものであり、そこに救いはありません。

小説で本当の悪を描き切るって難しいですよね。

今作品のように悪役のバックボーンも描くとなれば、読者はどうしても同情してしまうからです。

しかし「代償」では、達也の生まれ育った環境の悲惨さを描きつつ、読者が彼に同情を持たないように細心の注意が払われています。

自分は手を下さずに疑いの手から逃れるという達也のやり口は、北九州で起きたあの事件の犯人をモデルにしているのかもしれません。

達也の言動は典型的なサイコパスの特徴に当てはまるように計算されており、それゆえに私たちは本能的に達也へと恐怖心を持つのかもしれません。

裁判員制度の導入によって変わる日本の裁判シーン

従来の日本のミステリーでは、リアリティを出そうと思えば、どうしても裁判所でのやり取りは無機質なものにしなければなりませんでした。

もし弁護士が主人公で、アメリカ映画さながらの立ち振る舞いをすれば、一気に読者は冷めてしまうことでしょう。

しかし裁判員制度が導入されたことにより、日本の裁判でも人の感情に訴えかける演出が認められるようになりました。

実際の裁判でも、一つ一つ証拠を提示して裁判官のポイントを稼ぐやり方から、裁判員の感情を動かす劇場型にシフトしているようです。

その結果、「代償」でも、あの衝撃的な裁判のシーンが成立するわけですね。

海外のミステリーでは、裁判をテーマにした傑作がたくさんありますが、これから日本でも裁判を舞台にした作品が増えていくものと思われます。

代償は従来の裁判制度では描けなかった、新しいミステリーと言えるでしょう。

人はひとりではなかなか悪に立ち向かえない

人はひとりではなかなか悪に立ち向かえないが、仲間がいれば勇気も気力も湧く

これは作中の終盤での圭輔の言葉です。

圭輔と寿人は、少年時代から達也の異常性に気づいていながらも、何もすることはできませんでした。

しかし大人になり、周囲の人たちを味方につけることで、ようやく悪に立ち向かう勇気を持つことができたのです。

今作品では悪を描くことをテーマにしたと伊岡瞬さんは語っていますが、悪にどう立ち向かうべきか、というのも大きなテーマにあったと思います。

圭輔や寿人だけでなく、牛島夫婦や白石弁護士事務所の人々、そして圭輔の初恋の相手である美果の妹である沙弓。

それぞれ一度は悪に屈しながらも、仲間がいることで悪に立ち向かえるようになりました。

少年漫画のようにラストにはみんなが幸せになるなんてハッピーエンドは用意されていませんが、勇気と希望をもらえる作品だと思います。

私たちも、もし立ち向かうべき悪を見つけたのであれば、決して一人で立ち向かおうとしてはいけません。

友人、家族、恋人、どれだけ頼れる仲間がいるかどうかが、この世界での強さなのかも知れませんね。

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