向日葵の咲かない夏

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「向日葵の咲かない夏」は、私が初めて読んだ道尾秀介さんの作品です。非常に賛否両論分かれる作品だと思いますが、私の中では人生のTOP10に入る名作です。

では、簡単な作品説明から。

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向日葵の咲かない夏のあらすじ

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

いや〜、堪らないですね。この時点で物語は10分の1ぐらいしか進んでないのですが、既に伏線貼られまくってます。

伏線=名作かはさておき、とにかく後読感が半端ないってことは伝えておきたい!

では、ここからはなぜ私がこんなにも向日葵の咲かない夏を愛しているのか、話をしていきたいと思います。

向日葵の咲かない夏のおすすめポイント!

とにかく暗い!陰惨!救いがない!

この作品最大の魅力はずばり、「暗い」の一言に尽きると思います。夏休みの少年を描いて、ここまでジメジメとした雰囲気を醸し出せるのは、道尾秀介さんの才能に尽きるでしょう。私なら絶対我が子にこの作品は読ませません。

突然自殺してしまうS君、怪しい趣味を持つ担任教師、娘だけを溺愛し続けるお母さん。こんな人たちに囲まれて育ったミチオ君の日常生活が、きらきら輝いているわけありません。

しかしこの作品、読み返してみると、意外と主人公はポジティブなんですよね。

陰鬱とした世界に生きながら、隣の駅まで妹と遊びに行ったり、虫捕りをしたり、花火で遊んだりと、意外と夏休みを充実させています。狂った世界で送られる日常というのが、狂気を感じさせるのでしょうか。

世界が音を立てて崩れ落ちる快感のラスト!

読む前の人にラストの展開が凄い!と言うのは、基本的にマナー違反と思うのですが、それでも向日葵の咲かない夏はラストの展開が凄いと伝えたい!

いわゆる叙述トリックが用いられた作品なのですが、ラスト30Pから今まで信じていた世界が崩れていく音がきっとあなたにも聞こえるはずです。

また叙述トリックを使う作品の多くが、ただ読者を驚かせることを目的にしていることが多いですが、向日葵の咲かない夏は一味違います。叙述トリックを使うことの必然性を強く感じるのです。なぜ、このトリックが成立したのか…、登場人物たちの気持ちを思うと切なさすら感じます。

どんでん返し系の結末がどうも苦手という方も、この作品であれば納得するのではないでしょうか。

道尾秀介の初期作品と後期作品の違いについて

道尾秀介さんのこれまでの作品は、前期と後期に分けることができると思います。

「背の目」から「月の蟹」にかけてが前期、「月の蟹」から現在までが後期です。

前期の作品を救いを求める人たちの話であるとすると、後期の作品では救われる人々を描いているといった違いを感じます。私個人としては、前期の作品たちの方が好きです。前期の作品はミステリー色が強いということもありますが、あの時代の作品たちには物語であることを忘れて没頭できる「何か」がありました。

後期の作品はどこかおとぎ話を聞いているような感じがして、登場人物たちも作品を演じるための小道具になってしまった気がします。もちろん作家さんというのは年を重ねるごとに作風は変化するものですし、最近の作品にもそれぞれ違った良さがあります。

ただ初期時代の作品を愛する私としては、もう一度救いを求めて苦しむ人たちの物語を書いて欲しいなあと思います。何だかまとまらなくなってきたので、続きはまた後日書くことにします。

向日葵の咲かない夏以外にも、道尾秀介さんは数多くの傑作を生み出しています。

もっと読みたいという方はこちらの記事で紹介している作品がおすすめです。

独断と偏見で選ぶ!道尾秀介おすすめランキングTOP10!

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