球体の蛇

シェアする

道尾秀介さんの作品の中で、どれか一つ一番を決めるとすれば私はこの作品を推します。この世で起きる悲劇の大半は誰のせいでもないのでは…球体の蛇を読んで、私はそんなことを考えました。では、いつものようにあらすじからどうぞ。

スポンサーリンク
336

球体の蛇のあらすじ

1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。

…主人公の状況は分かりますか?(笑)
分かりやすくいえば、親と仲の悪かった友彦(主人公)が、仲の良かった隣の家のおじさんに引き取られ、おじさん・ナオ(おじさんの娘)・友彦の3人で暮らしている状態から物語は始まります。あらすじだけではどんな物語なのか全く分かりませんが、とにかく明るい話ではないということを理解していただければOKです。

球体の蛇の感想

ナオのお姉ちゃんがめっちゃ怖い!

友彦と一つ屋根の下に暮らすナオですが、7年前にはお姉ちゃんがいました。名前はサヨ。キャンプ場の家事で不幸にも死んでしまったのですが、生前のお姉ちゃんの行動がエキセントリックすぎて怖いんです!リンゴ飴のエピソードなんて想像しただけで、喉の奥がきゅっとなってしまいます。

このお姉ちゃんが今作品では非常に重要な人物で、死んでしまったあとも大勢の人たちの十字架となって、心の中に存在しています。もしかして、こうなることもサヨは想定していたのでは…なんて邪推したくなるほど、印象的なキャラクターでした。

ラストの一文がとてもいい

良い小説ってやっぱり最後の一文が素敵ですよね。(東野圭吾の「宿命」の最後の一文はたまりません)
今作品も最後の一文があるかないかで、作品のもつメッセージが大きく変わってくると思うんですよね。ちょっと書き換えるだけで、読者に与える印象は全く違ったものになっていたと思います。ここでネタバレはしないので、気になる方はぜひ最後まで作品を読んでから、最後の一文をお楽しみください。

球体の蛇のおすすめポイント

一つの嘘が明るみになると次の嘘が…ページをめくる手が止まりません!

球体の蛇の大きなテーマは「嘘」だと思います。それも人を騙そうとした嘘ではなく、誰かを守ろうとするための嘘。でもそれらが絡み合ってしまうと悲劇に繫がってしまうんですね…。

ただ、これは小説の中のお話。読者からすると次々と明らかになる真相に、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです。決して読み終わって明るい気持ちになるお話ではないですが、ちょっと沈んだ気持ちになりたい時におすすめです。

和製トマス・H・クックが読みたい方におすすめ!

この作品を読んで一つの作品を思い出しました。トマス・H・クックの「緋色の記憶」です。調べてみると道尾秀介さんもトマス・H・クックのファンだそうで、本人に会いにアメリカまで飛んだというのだから驚きです。

球体の蛇は道尾秀介さんの世界観をそのままに、トマス・H・クックの描く悲劇が見事に調和されている感じがします。トマス・H・クックの作品を、日本を舞台にして読みたいなと思ったら、この作品がおすすめです。

球体の蛇以外の道尾作品を読みたい方は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。

独断と偏見で選ぶ!道尾秀介おすすめランキングTOP10!

スポンサーリンク
336
336

シェアする

フォローする