豆の上で眠るのあらすじと感想【後半は完全ネタバレ解説】

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豆の上で眠る

「告白」で一世を風靡した湊かなえさんが描く、姉妹をテーマにしたミステリー。

「豆の上で眠る」というタイトルにこめられた意味に、読み終えるとハッとします。

あらすじや感想を、後半はネタバレも交えながら紹介します。

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豆の上で眠るのあらすじ

物語は主人公の結衣子の回想と現在を行き来しながら進みます。結衣子には万佑子という姉がいました。姉の万佑子は常に完璧。結衣子よりも勉強ができ、たくさん本を読み、結衣子が似合わないようなリボンとフリフリの洋服が似合う可愛い女の子。

そんな結衣子の愛する姉、万佑子がある日疾走してしまいます。家族は愛する万佑子を見つけるため、あらゆる手を使います。特に母親は、妹の結衣子までを利用し、万佑子を探し続けるのでした。

そして2年後、唐突に万佑子が見つかります。そのとき家族はどうなったのか…。

このときのことを回想している現在では、姉との微妙な距離感で気まずそうな結衣子が見えます。

以上が「豆の上で眠る」の簡単なあらすじです。主な登場人物は主人公の結衣子、姉の万佑子、その母、祖母。結衣子の視点で描かれているため、結衣子と関係性が深い人物が多く登場します。

タイトルの「豆の上で眠る」は、作中で万佑子が結衣子に読み聞かせるアンデルセンの童話『えんどうまめの上にねたおひめさま』からきたもの。

読み進めていくと、このタイトルの意味がわかります。勘の良い人は『えんどうまめの上にねたおひめさま』のストーリーを知ってしまうとその時点で物語の結末が予測できてしまいそうなので、これについては後半のネタバレで説明します。

【ネタバレなし】豆の上で眠るの感想

姉妹・兄弟がいる人におすすめ

この作品では、姉妹の絶妙な距離感が描かれています。

妹よりあらゆる面で優れている姉。しかし姉の万佑子は妹を非常に可愛がっていて、妹の結衣子もそんな姉をものすごく慕っている。

しかし母親はそんな姉妹を対等に扱っているようには見えません。姉の万佑子が失踪して、母親のそんな態度はより顕著になります。

ひどい話のように聞こえますが、姉妹・兄弟がいる人ならほとんどが「自分より姉・兄(妹・弟)のほうが親に大事にされているんじゃないか」と考えてしまった経験があるのではないでしょうか。

そんな経験をしたことがある人は、一人っ子の人より「豆の上で眠る」をさらに楽しめると思います。

「告白」を期待すると刺激が弱いかも

湊かなえの小説の中で一番面白いのは、やっぱり「告白」だ!そんなふうに思っている読書好きの人は多いでしょう。

「少女」や「白ゆき姫殺人事件」も映画化されて有名にはなりましたが、私自身も「告白」ほどの衝撃を感じることはできませんでした。

この「豆の上で眠る」も「告白」と比べると味気ないかんじがあります。ちなみに、血は一切流れません!人も死にません!

グロ要素がないぶん読者を選ばないともいえますが、「告白」を期待して読むのはやめておきましょう。

さて、後半はネタバレを交えながらレビューをしていきます。ネタバレを回避したい方は、別の記事をチェックしてみてください(笑)

豆の上で眠る

豆の上で眠るのネタバレ

アンデルセンの童話『えんどうまめの上にねたおひめさま』は、結婚相手を探している王子がやってきた女性を、シーツの下に小さなえんどう豆を隠したベッドに寝かせて、それに気づくかどうかで本物のお姫様か調べたという話。

お姫様はベッドで眠りながら、はっきり何が原因かはわからないが微妙な違和感を感じます。結果、その女性が本物のお姫様だと王子は判断し、めでたく結婚。

これが「豆の上で眠る」というタイトルの由来です。

妹の結衣子は、姉・万佑子が突然の失踪から戻ってきてから、こんな違和感をずっと感じることになります。

姉・万佑子の正体に最後まで悶々とさせられる

物語は妹・結衣子が回想する、姉・万佑子が失踪する前後の時期と、生まれ育った街に帰り、姉・万佑子と微妙な距離感で触れ合う現在とを行ったり来たりしながら進みます。

そのため読者は、失踪した姉・万佑子がいずれは戻ってくるとわかっていて読み進めるわけです。

しかし、回想している失踪前の姉妹と、現在の姉妹では距離感が明らかに違います。これにより読者も、まさに「豆の上で眠る」ような違和感を感じさせられるわけです。

姉・万佑子の失踪から帰還まで

姉・万佑子は、妹・結衣子と神社で遊んでいた帰りに、何者かにさらわれてしまいます。結衣子は自分が一緒に帰らず残って遊んでいたからだと、自分をひどく責めます。そして何よりも大好きなお姉ちゃんがいなくなったことで悲しみにくれます。

しかし誰よりも悲しんだのが、2人の母親です。

母親は、万佑子を誘拐したと少しでも疑うことができる家を見つけては、妹の結衣子に「逃げた猫を探しているから家の中を探してほしい」と嘘をつかせてまで、様子を見に行かせます。姉・万佑子を誘拐した犯人かもしれない人のところに、妹・結衣子を行かせるのです。この嘘をつかせるためだけに猫を飼い、わざと風呂場に隠したりしていました。

結衣子もその異常さに途中から気づくのですが、母のことを止めることはできません。姉がいなくなって寂しい気持ちも、自分より姉を大事に思う気持ちも理解できてしまったからです。

しかし祖母だけは、複雑な気持ちを抱えながらも学校へ登校し、母からのお願いにも応える結衣子の良き理解者でした。

そしてそんな日々が続いて2年、突然万佑子と思われる少女が発見されるのです。

戻ってきた姉・万佑子に感じられる違和感

発見された少女は万佑子と顔立ちが似ており、DNA判定の結果でも、間違いなく結衣子の母親と父親のこどもだという結果が出ました。

しかし、結衣子は顔を合わせた瞬間「この人は万佑子ちゃんじゃない」と確信します。以前自分のせいでついてしまった顔の傷がなかったのも、そう確信した理由の一つ。しかし母親にそう伝えても「最近の傷は治りが早いのよ」というだけでした。

そして結衣子は、姉妹2人しか知らないような話について質問したり、本当に万佑子なのかどうか試すような行為を繰り返すのです。

祖母も同じ時期、昔とことん教え込んだはずの箸の持ち方が、戻ってきた万佑子のものは目も向けられないものになっていることなどから、今までの万佑子と戻ってきた万佑子は別人なんじゃないかと疑っていました。

しかし母親は「この子はうちの子です!」と言って聞かず、気づけば結衣子以外はみんな納得して、戻ってきた万佑子を受け入れていました。

姉・万佑子の正体と出生の秘密

そして話は現在に戻ります。母親の病気の悪化を見舞うために生まれ育った街へ戻った結衣子は、姉の万佑子と偶然駅で顔を合わせます。

そのとき、万佑子の隣にいたのは知らない女性。その顔には幼い頃の姉と同じ傷がありました。ここから物語は急展開し、いよいよ万佑子の正体が明かされます。

結衣子は父親を利用して万佑子と、一緒にいた女性・遥を呼び出し、真相を解明するのです。

結衣子の好きだった万佑子は本当の姉じゃなかった

遥こそ、自分が8年間一緒に過ごしてきた姉だと確信した結衣子。しかし、DNA鑑定では、万佑子が姉妹だと証明されていました。どういうことなのでしょうか。

…実は、そもそも8年間一緒に過ごしてきた誘拐される前の姉・遥は、結衣子と血縁関係になかったんです。

誘拐される前の姉・遥は、万佑子の本当の母親の姉である看護師・弘恵によって、出生時に万佑子とすり替えられていたのです。

それは万佑子の本当の母親が病気がちで、か弱い子供を産んでしまうんじゃないかと気に病んでいたところを、健康な子供を育ててほしいと願った姉・弘恵が救おうとしてのことでした。

にしても、それで子供を取り替えちゃうってすごいですよね。姉妹の関係って皆さんが想像している以上に深いのかもしれません。

弘恵は姉に子供をすり替えたことがバレないよう、事前に顔立ちのよく似た子を選んでいたので、遥の家庭も万佑子の家庭も自分の子供じゃないなんてあまり疑うこともなく育てていたのでした。

失踪してからの空白の2年間の真相

誘拐される前の姉・遥が突然失踪した理由。それは、ひょんなことから本当の生みの親である弘恵の姉に出逢ってしまったからでした。

弘恵は遥・万佑子、そして自分の姉に子供をすり替えたことを告白。ここですぐに生みの親のもとに子供を戻すべきだという人も多いでしょう。

しかし、遥も万佑子も弘恵の姉を母親だと思って暮らすことを望んだのです。そのため2年間、赤ん坊の頃にすり替えられた2人は一緒に生活していたのでした。

その後、学校など現実的な問題に向き合わなければならなくなり、弘恵の姉は結衣子の両親と、今後どうすべきか話し合いました。

結果、すり替えられていた子供はそれぞれ生みの親のところに戻ることになりました。結衣子の両親は、失踪する前の姉と戻ってきた姉が別人であることを知っていたわけです。

結衣子だけがずっと騙されていたのでした。それは両親が、早く血の繋がった姉妹と自然な家庭を作りたかったからかもしれません。結果、それが仇になってしまったかんじがしますが…。

「本物の」お姉ちゃんとは

万佑子は血の繋がった妹のもとにやってきてから、遥に連絡をとりながら「理想の姉」になれるようたくさんの努力をしました。血が繋がった妹に好かれたかったからです。

しかし、結衣子は事あるごとに万佑子を試しました。いつまでも結衣子は「失踪する前の姉」を求めていました。万佑子はそれでひどく苦しんでいました。

結衣子は今まで自分の目の前にあったものが、またたく間に本物でなくなってしまったと感じます。そして「本物」とはなんなのか考えさせられるのです。

本来なら血が繋がった姉を愛せるはずじゃないのか、私にとって姉は誰だったのか、と。

豆の上で眠るの感想

非常に長くなってしまいましたが、「豆の上で眠る」のあらすじを完全ネタバレで紹介しました。

湊かなえさんらしい、妹として・娘としての結衣子、姉としての万佑子、そしてその母親のさまざまな心情が渦巻いている作品です。

家族とはなんなのか考えさせられるというか、ミステリーというよりヒューマンドラマに近い印象を受けました。

個人的には「戻ってきた姉がなんだかすごく怖い…!」みたいなスリリングな展開のほうが好みです(笑)

ということで今回は最近話題の「豆の上で眠る」のあらすじやレビューを紹介しました。

湊かなえさんの作品は他にも面白いものばかりなので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

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