満願のあらすじと解説【※一部ネタバレ】

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2014年に山本周五郎賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」など国内ミステリーランキングの一位を独占した今作品。

米澤穂信作品の最高傑作との呼び声も高く、プロの作家からも称賛の声を集めています。

2017年には文庫本化されたこともあり、各書店の人気ランキングでも一位を独占しています。

ということで、今回は面白い短編集を探している方にぜひおすすめしたい「満願」のあらすじや解説を紹介して行こうと思います。

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満願は全6編の短編集説

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。人を殺め、静かに刑期を終えた 妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在 外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇 する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、 ミステリ短篇集の新たな傑作誕生!

満願は独立した6つのお話を紡いだ短編小説集となっており、各作品全く趣の異なる雰囲気で書かれているのが特徴です。

どの作品でも登場人物は強い願望を抱えており、自分の望みをなんとかして叶えようとすることで、狂気じみた事件に巻き込まれることになります。

表題である「満願」は1つの短編集のタイトルなのですが、 なぜ「満願」を表題に選んだのかは、すべての作品を読み終えると納得できる気がします。

ということで、ここからはそれぞれの作品の簡単なあらすじを紹介していきます。

夜警のあらすじ

「こんなはすじゃなかったのに、上手くいったのに…」

主人公の務める派出所へ配属された新人の警官・川藤は、ある日、妻に暴力を振るう夫をなだめようとしたところ、ナイフで襲われて命を落としてしまった。

新米警官の不慮の事故に世間は同情を覚えたが、主人公だけは違和感を抱き続けていた。

あの事件は何かがおかしい―。

そして川藤の兄から素性を聞かされた主人公は、一つの真相へと辿りつく。

警官に向かないと言われた卑屈な男が、企んでいた思惑とは何だったのか。読み終わったあとに、人間の卑屈さに嫌気が指してしまう一作です。

死人宿のあらすじ

二年前に姿をくらました昔の恋人・佐和子が働く旅館へたどり着いた主人公。

彼女は「死人宿」と呼ばれる、自殺の名所として有名な旅館で働いていた。

職場でのパワハラに苦しむ佐和子を助けられなかったことに、罪悪感を抱いていた主人公は、彼女からの依頼によって、温泉の脱衣所で見つかった遺書の持ち主を探すことになった。

果たして遺書の持ち主が自殺する前に、止めることができるのか、助けることができるのか。

ミステリーとしての完成度も高く、謎解き好きな人にもおすすめの作品です。

柘榴のあらすじ

人並み外れて美しい容姿を持って生まれたさおりは、人並みの容姿ながら世の女性を魅了する不思議な魅力を持った男・鳴海と結婚をする。

2人の娘を授かったさつきは、今後のことを考えて、ロクに家にも帰らず稼ぎも家に入れない鳴海との離婚を考えるのであった。

しかし最愛の娘である夕子と月子は、裁判所でさおりではなく、鳴海と一緒に暮らすことを希望する。

なぜ娘達は母親ではなく、父親を選んだのか。

そして美しい愛の憎悪を描いたラストは、江戸川乱歩作品を思い出させる恐ろしさがあり、背中をゾクリとさせてくれます。

万灯のあらすじ

私は裁かれつつある。思いもよらぬ存在によって。

バングラディッシュでの天然ガス採掘事業に尽力するサラリーマンを描いた作品。

ストーリーの前半では日本の高度経済成長を支えた男の情熱を描く、まるで山崎豊子の「沈まぬ太陽」を読んでいるみたいでした(笑)

後半ではガラリと雰囲気が変わり、採掘事業に反対する原住民とのスリル満点のやり取り、ついに主人公が人を殺めてしまうまでの経緯が描かれています。

そして物語のラスト、思いもよらぬ存在によって追い詰められた主人公は、逃れられないところまで来てしまったことを痛感します。

大義のためにすべてを犠牲にした男の末路、あなたはどっちの結末がふさわしいと思いますか?

関守のあらすじ

都市伝説の調査のため、事故が多発する峠を訪れた主人公は、タバコ欲しさに訪れた休憩で一人のおばあさんから話を聞けることになった。

老人はこれまで起きた四件の死亡事故すべてを目撃しており、事件の詳細を細かに説明するのであった。

果たしてこの峠ではなぜ事故が多発するのか、本当に呪いによって事故がひきおこされているのか。

最後の一言に、思わずゾッとしてしまうホラー色の強い作品です。

満願のあらすじ

学生時代の下宿先の奥さん・妙子が、殺人事件の犯人として裁判にかけられることになった。

主人公は弁護士として妙子を支えようとするが、彼女は一審が終わるとすぐに控訴を取り下げてしまった。

夫の残した借金を苦に、金貸しの男を殺してしまった妙子を思い、胸が締め付けられる主人公であったが、長いときを経て事件を回想していくうちに、彼女が人を殺した真の動機へ行き着くのでした。

果たして「満願」のタイトルに込められた意味とは何なのか。ラストに相応しいこれぞ米沢作品と手をたたきたくなる傑作です。

ということで、今作品に収録されている短編は、どれも雰囲気が全く異なり、バラエティの富んだ内容となっています。

ミステリー作品は、特に短編集を作るのが難しいと言われており、ここまでクオリティの高い作品を6編が揃っているのは、まさに贅沢です。

少しずつ読み進めるのも良し、一気に全部読んでしまうのも良し。

最近おもしろいミステリーを読んでないな〜と思っている人は、ぜひ一度手にとってみてください!

またこれを機に、米澤穂信作品をもっと読みたい!という方は、ぜひこちらの特集記事も参考にしてみてください。

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