むかし僕が死んだ家

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ひと味違うミステリー小説を読みたいあなた。
今作品「むかし僕が死んだ家」は、斬新な設定に驚きの展開。そして綿密に練られた構成と、ミステリー好きにも自信をもっておすすめできる一冊です。東野圭吾作品の中でも隠れファンが多い作品なので、まだ読んでいない方はぜひ一読ください。

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むかし僕が死んだ家のあらすじ

「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。

この作品の主な舞台となるのは、あらすじにも出てくる白い家。ただしこれは屋敷ものに出てくるような豪邸ではなく、一般家庭が済む2階建ての一戸建ての家なんです。こんな狭い舞台で、小説一冊分のストーリーを組み立てられるのは、さすが東野圭吾さんと感服してしまいます。

むかし僕が死んだ家のおすすめポイント

殺人事件でも犯人捜しでもない、新しいミステリー

この小説では誰かが殺されたり、探偵が登場して犯人を捜したりといった、本格ミステリー要素はありません。鍵となるのは昔の恋人・沙也加の失われた記憶は何なのかという一点のみ。

この設定だけ見ると膨らみのなさそうなストーリーに思えますが、読んでみると沙也加と同じように、もしかするとそれ以上に、彼女の記憶に隠された謎が気になってしまうんですよね。

幼い頃の失った記憶とともに明かされる20年前の悲劇。点が線で繋がる感覚をぜひ味わってください。

まるで脱出ゲームのような面白さ

むかし僕が死んだ家では、基本的に家の中に隠されたヒントを元に謎解きを進めていきます。しかし謎解き作品の中には、終盤にならなければ事件の全体像さえ分からずにいらいらすることも多いですよね(笑)。

ご安心ください。この作品では文庫版で一冊300ページほどなので、ページをめくるたびにどんどん手がかりが見つかり、まるで脱出ゲームのようにさくさく真相が明らかになっていきます。

作中の時間でも一泊二日しか経っていないので、なかなか事態が進まずにいらいらすることはありません。さくっと面白い小説を読みたい方にもおすすめです。

むかし僕が死んだ家の感想

幼い頃の記憶がないって怖い

主人公の元カノ・沙也加は、幼い頃の記憶がないせいで、大人になっても娘との向き合い方に悩んでいます。はじめてこの作品を読んだときには、幼い頃の記憶がないという彼女の悩みを、本当の意味で共感することは出来ませんでした。私だって幼稚園児の頃の記憶だってほとんどないし…。

ただ、本当に幼い頃の記憶が0なんだとしたら…。両親との思い出、ぬくもり、においなどすべてないとしたら…。これは凄く恐ろしいことだなと、大人になった今実感します。

私たちが子どもを愛おしいと思う感情は、子どもの頃の記憶がかなり影響しているのではないかと思うんです。もちろん小さい頃に両親から愛されなかった方でも、大人になって子どもをちゃんと愛せている方はたくさんいます。

でも、その人たちでも子どもの頃に、両親以外の何か心の支えがあったと思うんです。ただ「むかし僕が死んだ家」の沙也加は、記憶自体がないので、幼いころの自分を支えてくれるアイデンティティは一切ありません。

そんな状態で、自分の分身ともいえる娘を育てることができるのか。大人になった今、彼女の苦しみを痛感できるようになりました。

以下、ネタバレありの感想になるので、見たくない方は商品紹介以降スクロールしないようにお願いします!!

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むかし僕が死んだ家のネタバレ有感想

猫のチャーミーのミスリードはアンフェアじゃないですか?

終盤で日記中に出てくる猫のチャーミーが実は、御厨祐介の義妹・久美であることが分かります。そしてなんと、本物の沙也加は子どもの頃に死んでいて、沙也加と思われていた元カノは久美であることが分かるのです。

…まだ読まれていない方は訳が分からないと思いますが、今作品の真相はこんな感じです(笑)

私が突っ込みたいのは、チャーミー=猫を読者にミスリード(誤解)させたときの一文。

「するとベッドにチャーミーがいて、この間のようにみゃあみゃあとないていた」と祐介君の日記には書かれています。これを読んで読者はチャーミー=猫とミスリードされたわけです。

ただこれを初見で見破るのは不可能ではないでしょうか。それ以降にチャーミー≠猫という材料であったり、猫が家にいなかったことを示す材料があればいいのですが、結局終盤まで猫問題には触れられませんでした。

これが名の知れない作家であれば、私も文句はないのですが、相手は東野圭吾さんですからね。ちょとこれはアンフェアだったのではないかと思ってしまいます。

本格ミステリーではないので、読者にすべてのヒントを与える必要はないのですが、もうちょっと猫問題を丁寧に扱ってもらえれば、素直に驚くことが出来たのでは、と思いました。

以上、むかし僕が死んだ家のあらすじと感想でした。

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