理由

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宮部みゆきさんの「理由」は、第120回直木三十五賞を受賞した稀代の傑作です。

個人的には「火車」とともに、現代社会ミステリーという新しい世界を開いた作品だと思います。

そこで今回は宮部みゆきさんの「理由」を改めて読み、レビューを書くことで、この作品の魅力を皆さんにお伝えできればと思います。

まずは理由の簡単なあらすじからご紹介します。

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理由のあらすじ

超高層マンションで起きた一家四人の惨殺事件。しかし捜査を進めるうちに、彼ら四人は血の繋がりのない他人であることが分かります。

果たしてあの家に住んでいた「家族」は一体誰だったのか、そしてなぜ彼らは殺されたのか。

事件に関わる数十人にも及ぶ証言者たちが語る証言から、事件の真相は徐々に明らかになっていきます。

マンション売買に関する知られざる現代の闇を描いた問題作は、ミステリーファンだけでなく多くの人に読んでいただきたい一冊です。

ということで、簡単なあらすじはここまでにして、ここからは私が思うおすすめポイントや感想を紹介させていただきます。

理由のおすすめポイント

実際に起きた事件?と思わせる綿密な設定

理由を読んでまずびっくりするのが、綿密な描写だと思います。

数十人の登場人物が出てくるのですが、一人ひとり細かなところまで描かれているんです。

また事件の舞台になったマンションの設定も細かく、建設に至るまでの経緯から、マンション内の警備システムまで、本当に実在する建物かのように説明されます。

まるで実際に起こった事件のルポを読んでいるようで、どんどん小説の世界に入り込んでしまうんです。

物語の構成も見事で、さまざまな証言から事件の真相が暗闇から浮かび上がる感覚はたまらないですね。

有吉佐和子さんの悪女についてや、最近では貫井徳郎さんの愚行録などで、同じ手法が使われていますが、回りくどさは理由がぴかいちですね(笑)

普段から凶悪事件のルポタージュなどが好きな方にもおすすめですよ。

冒頭の「何か大変なことが起きた」感が最高

理由の冒頭は一人の女の子の証言から始まります。

彼女は地元の中学でバスケ部に通う平凡な中学生で、事件にも直接関わりがあるわけでもありません。

しかし部活仲間の女の子が交番に駆け込む姿を見て、「何かが大変なことが起きた」と直感的に悟るんです。

私は少女の気持ちと完全にシンクロしてしまい、この場面で思わず身震いしそうになりました。

のどかな日常にいきなり異変が起きたとき人はどうなるのか。宮部みゆきさんはこのあたりの描写がピカイチですよね。

(代表作でもある「模倣犯」では、この描写だけでほとんど文庫本一冊使ってましたし)

スティーブンキングなどもそうですが、実力のある作家さんは事件が始まる前のゾクリとする雰囲気を描くのが上手ですよね。

理由を読んだ感想のまとめ

私がリアルを読んで一番に思ったのは、宮部みゆきさんの頭の中はどうなっているんだろう、ということでした(笑)

きっと頭の中に現実とは違う、いろんな世界が回っているんだと思います。

その世界では「理由」のような事件も、ブレイブストーリーみたいな冒険も、現実として存在しているのではないでしょうか。

本格ミステリーのような謎解き系は現実味がないから苦手という方も、宮部みゆきさんの書くミステリーであればきっと面白いと思います。

ということで、ここまではまだ読んでいない方に向けて、ネタバレ要素なしで理由のレビューを紹介しました。

バナーの↓から続けてもう少しネタバレ要素も盛り込んだ感想を書いているので、すでに読んだことがある方はぜひ目を通してみてください。

ネタバレ要素あり感想

※ここからは理由のネタバレ要素があるので、未読の方はご注意ください。

ということで、ここからはネタバレ要素を少し含めて、私の感想を書かせていただきます。

作品自体はとても面白かったのですが、唯一八代祐司の描写だけは物足りなかったですね。

彼は惨殺事件の実質的な犯人なのですが、八代祐司がなぜ彼らを殺したのか、肝心な部分の説明がほとんどないんですよね。

というか、作中の人たちもいまいち理解できていないんです。

心に闇を抱える若者の怖さを出すために、あえて深くは説明しなかったんだと思いますが、それにしても納得できないような気がします。

(この納得できない感覚こそが狙いだったのかもしれませんが)

まだ模倣犯の網川浩一の方が、殺人を犯す理由に共感できます。

だって八代祐司が彼らをあの場で殺す必要は全くなかったですからね。

ただこれも普段謎解きミステリーばかり読んでいる弊害なのかもしれません。

現実に起きる事件でも、動機なんて整合性のないものばかりですからね。

ということで、最後は感想というか言いがかりに近くなってしまいましたが、とにかく私はこの作品が大好きです。

昔読んだことあるという方も、改めて読んでみると新しい発見もあるものなので、ぜひもう一度読んでみてください。

また当サイト「小説おすすめNAVI」では、理由以外にも宮部みゆきさんのおすすめ作品を紹介しています。

まだ未読の作品がある方はぜひチェックしてみてください。

宮部みゆきおすすめ小説ランキングBEST10【ミステリー】

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