制裁のあらすじと感想(※一部ネタバレ)【ガラスの鍵受賞作品】

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スウェーデンが舞台の小説ということで、はじめは名前を覚えられずに混乱しましたが、登場人物はそこまで多くないので割と読みやすいと思います(笑)

ミステリ―にどんでん返しのラストを必ず求める人は、若干肩透かしを食らってしまうかもしれませんが、私は好きな作品でした。

読み終わってしばらく経っても、心にずっしりと残る無常感。

最近だと「イノセント・デイズ」を読み終わったあとの感覚に近いかもしれません。

これからあらすじや作品解説を書いていくので、気になった方はぜひ読んでみてくださいね!

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制裁のあらすじ

凶悪な少女連続殺人犯が護送中に脱走した。市警のベテラン、グレーンス警部は懸命にその行方を追う。一方テレビでその報道を見た作家フレドリックは凄まじい衝撃を受けていた。見覚えがある。この男は今日、愛娘の通う保育園にいた。彼は祈るように我が子のもとへ急ぐが…。悲劇は繰り返されてしまうのか?著者デビュー作にして北欧ミステリ最高の「ガラスの鍵」賞を受賞。世界累計500万部を超える人気シリーズ第1作。

※ここから一部ネタバレ要素があります。

逃走した連続殺人犯に娘を殺されたフレデリックは、殺人犯が過去に勤めていたタクシー会社の勤務記録から行動パターンを読み取り、次のターゲットとなる保育園を突き止めます。

そして男を見つけたフレデリックは、猟銃で彼を射殺してしまうのでした。

警察はフレデリックを殺人容疑で逮捕しますが、彼に罰を与えようとする検察側に、世論は大きく反発します。

果たしてフレデリックは殺人犯として罰せられてしまうのか、それとも正当防衛として認められるのか。

娘を殺され、復讐を果たした父親。そんな男を逮捕しなければならなかった警察。そして彼を罰さなくてはならない検察たち。

この事件によって翻弄される様々な立場の人たちの苦悩を描いた、心に刻み込まれる傑作です。

因果によって繋がる悲劇

物語は狂気の殺人鬼・ランドが、二人の少女に声をかける場面から始まります。

ここで普通のミステリー小説なら、誘拐犯を探す展開になるのですが、この作品ではあっさり犯人は捕まります。

むしろ犯人を捕まえる描写さえありません。

この作品で描かれるのは、パズルのような謎解きやスリリングな追想劇ではなく、1つの事件が巻き起こす因果の悲劇だからです。

登場人物一人ひとりの細かな行動が、後々巻き起こる悲劇へと繋がっていく構成は見事としか言いようがありません。

そして読み始めたときには予想だにしなかったラストを迎えるとき、あなたはぶつけようのない深い悲しみを覚えるはずです。

正義の反対は別の正義である

この作品の一番伝えたかったことは、正義の反対はまた別の正義にある、ということだと思います。

登場人物はそれぞれ自分の正義に従って行動するのですが、その行動が次なる悲劇を巻き起こしていきます。

ある者は復讐を、ある者は将来的な危険の排除を、そしてある者は秩序を守るために公平は判断を。

中には到底共感できないような人たちも出てきますが、それでも彼らの心の中にあるのは自分の「正義」なのです。

個人的には新米検察官の葛藤が一番心に来るものがありました。

フレデリックに罪を与えななければ、国が私刑を認めることになってしまう。しかし世論はそんな彼の正義を容赦なく潰そうとします。

登場したばかりの頃は、いけ好かないやつだと思っていましたが、読み進めていくうちにいつの間にか彼を応援していました。

スウェーデンの司法制度が面白い

作中ではスウェーデンの刑務所も出てくるのですが、日本とは全く違うのはもちろん、アメリカとも微妙に制度が違って面白いですね。

中には6時間だけ外出が許される受刑者もいて、「え?危なくない?」と思ってました(笑)

6時間あったら、結構遠くまで逃げられそうですけどね。

あと受刑者同士で必死になってサッカーで競っているのも、文化の違いを感じました。

やっぱりヨーロッパの人たちはサッカーが好きなんだ!

と、全くストーリーには関係ないですが、こうして外国の文化を知ることができるのも、海外小説の魅力の一つかなと思いっています。

実はシリーズ物の一作目らしいです

この記事を書いていて初めて気が付いたのですが、実はこの作品グレーンス警部シリーズとして続編もあるみたいですね!

全く知りませんでした(笑)

グレーンス警部は作中に出てくる定年間近のベテラン刑事ですが、まだまだ難解な事件に遭遇する運命にあるようです。

ということは、新米の検察官なども続編に出てくるのでしょうか?

今回の登場人物が次の作品でどのように関わってくるのかも見ものですね!

私はまだ読んでいませんが、日本では「ボックス21」と「三秒間の死角」という作品が翻訳されて出版されているみたいなので、「制裁」が気に入った方は是非読んでみてください。

私も今積んでいる小説を片付けたら、次はグレーンス警部シリーズを読み進めていこうと思います!

ということで、今回は第14回ガラスの鍵賞(最優秀北欧犯罪小説賞)を受賞した名作「制裁」の簡単なあらすじや作品解説を紹介しました。

面白いミステリー小説をもっと読みたい!という方は、こちらの特集記事もぜひ参考にしてください。

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