ユリゴコロ(2017年映画化)のあらすじと感想※後半ネタバレ注意

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ユリゴコロ
「ユリゴコロ」。このタイトルを見てあなたは何を思い浮かべましたか?なんだか暖かいような、でもちょっと冷たくて怖いような。そんな印象を私は浮かべました。

しかし読み進めてみると、この作品はそんな生ぬるいものではなく、想像以上の愛と苦しみの話でした…。

作者は第五回ホラーサスペンス大賞の受賞経験を持つ、沼田まほかるさんです。

9月23日(土)に実写化映画が公開されるので、公開後作品を読んだら映画の感想も追加していきたいと思っています。

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ユリゴコロのあらすじ

亮介は、ペットと楽しめるドッグラン付きの喫茶店を経営している

ともに経営に携わっていて、同時に亮介の婚約者である千絵の失踪。父親の末期がん発覚、さらに交通事故による母の突然の死…。

多くの困難が突如亮介を遅い、亮介は絶望していた。

そんなある日、亮介は父に会おうと実家を訪れました。なんとなく普段は入ってはいけない父の書斎に入ると、古びた女物のバッグを見つけます。

そのなかには「美紗子」という名前が添えられた黒い髪束がありました。美沙子とは亡くなった母の名前ですが、髪の毛は亡くなった当時の美沙子の髪よりもずっと黒く、若々しいもの。

亮介はこのバッグと髪の毛から、幼い頃に「母親が別の誰かと入れ替わったのではないか」という疑惑を抱いていたことを思い出します。

さらに茶封筒に入った4冊のノートも発見。表紙に書いてあるのは「ユリゴコロ」という文字。

そのノートのなかには、恐ろしい殺人の記憶が記されていました。

これが「ユリゴコロ」の簡単なあらすじです。

ユリゴコロとはなんなのか、母親が入れ替わったってどういうこと?失踪した千絵がカギを握っているの?あらすじだけで、いろいろ気になる部分がある作品です。

女性の髪の毛が出てくる時点でもうホラーですよね(笑)

登場人物

  • 亮介:主人公。ドッグラン付きの喫茶店を経営
  • 千絵:突然失踪した亮介の恋人
  • 細谷さん:亮介が経営する喫茶店の頼れる店員。千絵の母親的存在
  • 美沙子:亮介の母親
  • 洋介:亮介の弟

ユリゴコロのおすすめポイント

身近な人のはずなのに誰なのかわからない殺人鬼に鳥肌

作中に登場する「ユリゴコロ」というノート。主人公の亮介から見た描写と、このノートの中身を、亮介が読み進めるのに合わせて読者も一緒に読んでいくことで、物語は進みます。

ユリゴコロを誰が書いたのか。物語の終盤までそれはわかりません。読み手も一緒に亮介と困惑し、恐れ、怯えます。

このノートの中身が本当に怖いんです。こんなの見つけちゃったら、読んだ当人もおかしくなっちゃうのではないでしょうか…。どんな中身なのかは読んでみてのお楽しみです。

人間の苦しみと愛情が交差する

人を殺す、殺人。常識的に考えれば、そこには憎しみがあると想像するでしょう。

しかしユリゴコロには、人の憎悪は一切描かれていません。

そこには逃れられない苦しみと、だらだらと溢れる愛情があります。

それが普通のホラーミステリーと、ユリゴコロの違うところ。

読み終えたときには、どこに整理すればいいのかわからない感情が心からこぼれでてきました。

ちなみに、まあまあグロいので、そうした描写が苦手な方は少し読み進めるのがつらいかもしれません。実写映画はR指定ではないので、グロいばかりの物語ではないですが…。

映画情報(2017年秋公開)

2017年9月23日(土)に公開される実写化映画は、吉高由里子さん主演。松山ケンイチさん、松坂桃李さんがその脇を固めています。

比較的若いキャスティングですが、どの役者さんも実力派なので非常に楽しみです!

しかしストーリーの展開的には、ずーっと暗い場面が続きそうで少し憂鬱な気分になります…(苦笑)

では後半はネタバレを交えつつ、より詳しい感想を紹介します。ネタバレ回避したい方は画像の下まで読まないように気をつけてください!
ユリゴコロ

ユリゴコロのネタバレ

「ユリゴコロ」を書いた殺人犯は亮介の母親だった

亮介が父の部屋で偶然見つけたノート「ユリゴコロ」。そこには数々の恐ろしい殺人と、そこに至るまでの経緯が事細かに描かれていました(あとで詳しく説明します)。

これを書いたのは、亮介の想像どおり、なんと実の母親(入れ替わる前の母親、美紗子)でした。亮介はとんでもない殺人犯の子供であり、父親はそのとんでもない殺人犯と結婚していたというわけです。

ここで亮介は、殺人犯だった母親を父親や親族が交通事故に見せかけて抹消したのではないかと疑います。

殺人犯である母、美沙子は妹の恵美子と入れ替わっていた

しかしその疑いは間違いでした。亮介が幼い頃に感じた違和感のとおり、母親はある時点を堺に入れ替わっていたからです。

亮介がまだ幼い頃、美沙子がとんでもない殺人犯だったことに、美沙子の家族も「ユリゴコロ」を読むことで気づきます。

そこで、亮介の父親も含めて家族で計画し、罪人である美沙子をダムに沈めたのです。

しかし子供には母親が必要だということで、妹である恵美子がそのまま美沙子に成り代わり、生活をしていたということでした。

いや、現実ではあり得なさそうな話です。というか、ありえていたら怖いですよね。

殺人犯が生まれた理由

でも、なぜ美沙子はとんでもない殺人を幾つも起こしてしまったのでしょう、というのがやっぱり読み手の気になる部分ですよね。ここに関しては簡単に言うと「美沙子はサイコパスだった」としか説明ができません。

美沙子は小さい頃から脳にこぶがあり、人と一切会話をしない子供でした。何度も医者のもとに連れていかれ、医者は母親に「この子はユリゴコロがない」と繰り返していたのを美沙子は覚えています。

この「ユリゴコロ」とは実際「拠り所」のことで、美沙子は生まれたときから「楽しい」とか「幸せ」を感じる心が欠けていたのです。

他者の命を落とすことで満たされる美沙子

美沙子は小学生の頃によく遊びに行っていた友人の家で、ある日庭の井戸の暗闇に心を飲み込まれてしまいます。

ここに落ちたら死んでしまう。その恐怖が一気に襲い、美沙子は近くにいた虫を自分の代わりに井戸に落としました。

虫が死んでしまうことはわかっていましたが、美沙子はそうすることで安心感を得ましたし、まるで何かの義務や使命のようにその行為を行っていました。

そんなふうに虫やカエルを友人の家に遊びに行くたびに井戸に落としていましたが、ある日その友人が池に落ちて溺れてしまいます。

美沙子飲めの前で友人は溺れ、動かなくなりました。そのとき、これが自分の「ユリゴコロ」だと美沙子は確信します。

こうして美沙子の殺人鬼としての人生が始まったのです。それは美沙子のせいでも、誰のせいでもない仕方のないことだったのでした。

亮介の父親との出会い

美沙子は誰かを殺めるという「ユリゴコロ」を見つけてから、だんだんと感情を表現したり、学校で浮かずに上手く世渡りしていく方法を見つけ、表向きは特に問題を起こすこともなく社会人になります(裏向きはその間にも友人を殺めてしまうのですが)。

しかし社会人になって、職場を追い出された美沙子は娼婦となり公園をさまよう日々を続けていました。そこで出会うのが、亮介の父(美沙子は「アナタ」と呼びます)です。

アナタは美沙子に体を求めることもなく、やつれ果てた美沙子に食事を御馳走してくれました。そしてだんだんと仲を深めていきます。

しかし端から見たら話しかけたくもないような美沙子にこんなに親切にするアナタには、そうせざるをえない理由がありました。

美沙子がアナタを殺人犯にしていた

美沙子は子供の頃、マンホールの穴の途中に引っかかってしまった妹の帽子を、男の子が必死に拾おうとしているところに遭遇します。

すると、とある男性がやってきて、男の子が帽子を取りやすくなるよう足を押さえて、男の子を穴のなかに宙ぶらりんにして手伝いました。

しかし、あと少しのとことで男の子は帽子をつかむことができません。足を押さえる男性の身体もギリギリ。

美沙子はそこで手伝うフリをして2人に近づき、男の子を支える男性の身体を押し、男の子をマンホールの底へ落としました。

実はこのときの男性が、アナタだったのです。

結局この事件は事故だということで落ち着きましたが、アナタは自分が男の子を死なせてしまった、そして手伝ってくれた女の子へ大きな傷を与えてしまったと、大きな罪の意識に苦しんでいたのでした。

アナタとの結婚、出産、自殺未遂

しかしそれでも美沙子は、アナタと過ごす中で初めての感情にたくさん出会いました。楽しさ、安心感、幸せ、そんなものを手に入れたのです。

そんななかで、客との子供を身ごもっていることに気づきます。アナタは自分の子ではなくても構わないから、産んで育ててほしい。結婚してほしいと美沙子に告げます。

2人は結婚し、生まれた亮介を育てることになりました。

しかし結局、美沙子は昔の殺人について警察から事情聴取を受けるなどして、もとの生活を忘れて幸せになることはできないと結論づけ、亮介と一緒に死のうとします。

この自殺未遂がきっかけで、美沙子の妹である恵美子が「ユリゴコロ」の存在に気づき、美沙子は家族に自分の存在を抹消されたのでした。

ダムに沈んだはずの美沙子は生きていた

しかし!美沙子は実は生きていました。

亮介が働く喫茶店で、いつも親切に自分を支えてくれた女性、細谷さん。彼女こそ、美沙子だったのです。

美沙子の両親は結局自分たちの娘を殺すことができず、子供とはかかわらずに違う人生を生きるよう美沙子を諭したのでした。それでも結局、美沙子とアナタは繋がりを持ち続けていたんです。

そして最終的に、この細田さん=美沙子のおかげで、亮介は失踪した千絵を取り戻すことができました。

千絵には実は夫がおり、その悪い夫に暴力を受けながら娼婦として働き夫にお金を渡していたのです。その夫を、美沙子が殺めたから千絵は救われたのでした。

すべてが明るみになり、美沙子はアナタと一緒にアナタの人生を終えるための度に出ました。

亮介の弟、洋介は兄からこの話を聞いてこう感想を述べます。

「とんでもない愛の物語じゃないか」と。

感想・レビュー

以上がユリゴコロのネタバレです。

ここで述べていない美沙子の学生時代に犯した殺人のエピソードがあるのですが、それは皆さん自身に読んでいただきたいので、あえて書きませんでした。

読んでいるのが辛くなるほど、苦しい、美沙子にとって初めての友情が描かれているので是非読んで欲しいです。

それにしても、美沙子みたいな人って、現実にはいるのでしょうか。いそうといえばいそうだし、絶対にいないといえばいないような気もします。

でも幼いころ、アリを殺して遊んだ経験を持つ人は少なくないのではないでしょうか。「ユリゴコロ」を間違ったものにしてしまうと、人は大変なものに成長してしまうのかもしれません。

何人もの人を殺めているのに、そんな美沙子が幸せであることを願わずにはいられない物語でした。

面白いミステリー小説をもっと読みたい!という方は、こちらの特集記事もぜひ参考にしてくださいね!

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また沼田まほかるさんでは、こちらの作品も2017年に映画化が決まっているので、是非チェックしてみてください。

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