ショートショートの神様とも呼ばれる、稀代のストーリーテラーである「星新一」さん。
星新一さんの作品は、あっと驚くラストから、背筋をゾクリとさせるブラックユーモアまで幅広く、今の時代を生きる私たちへ警鐘を鳴らす作品も多数残されています。
しかしあまりにも作品が多すぎて、一体何から読めばいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は星新一作品が大好き!というファンから聞いた、星新一おすすめ作品をランキング形式でご紹介!
あらすじを読んで興味をひかれた方は、ぜひ手に取って読んでみてくださいね!
目次
7位 「かくれ家」(「ひとにぎりの未来」より)
読み終わった後に思わずにやっとしてしまうような作品がだいすきな私にとってこれはまさに、という読後感を味わうことができました。
強盗犯が犯行後に心穏やかに過ごせるわけもなく、神経内科を訪れ、事情を聞いた医師から3年静かに暮らせば問題ないだろうと「かくれ家」を紹介されます。
強盗をしておいて気持ちが落ち着かないから病院に行ってしまう犯人に冒頭から「あ、この人ちょっとうっかりさんかもしれない」と思うのですが、そのまままんまと過ごしてゆく様子が可愛く見えてしまうので不思議です。
どこかユーモラスで憎めないキャラクターが多いのも星新一の魅力かなと思います。
6位 「ご用件は」(「夜のかくれんぼ」より)
いつもいつも決まった時間にやってくるセールス電話の内容は「奥様を殺してさしあげる」という変なものなので、来るたびに断り、そしてそのたびに妻への愛を再確認することができる・・・という途中まではちょっぴり気持ちがあたたかくなれる作品かなと思いました。
こう来るのね、というラストがとても楽しい作品です。
今は固定電話が少ない時代なので、セールスも電話というよりメール等で来ることのほうが多と思いますが、固定電話だからこそうっかり聞こえてきてしまう会話の内容がいまとは少し違っていて面白いなあと思いました。
5位 「みやげの品」(「ちぐはぐな部品」より)
凄まじい現代風刺だと思います。いったい初版はいつなんだろうと調べてみると昭和47年に発行されていました。
45年前に書かれたもので今にも通じる皮肉になっているってすごいなあと改めて星新一に脱帽してしまいます。
あらゆるお土産には目もくれず「景色をよく見て印象を深く残したほうがいい」と語る観光客にちょっとしたアクシデントが起こるのですが、なんでも写真にとってSNSで見せる世の中では観光地に行っても見に行ってるのか、それともただSNS用の写真を撮りに行っているだけなのかわからなくなってしまうことがあります。
かたくなになりすぎることは良くないけれどどうなんだろう、と原稿用紙1枚とちょっとのSSに深く考えさせられてしまいました。
4位 「ナンバー・クラブ」(「かぼちゃの馬車」より)
「マイナンバー制度」みたいなものかもしれない、と一度読んだだけではうまくこの話の制度がつかみきれなかった私はここに落ち着くことが出来ました。
またしてもこれはいつに書かれたものなんだろう、と驚きが隠せないくらいとてもよく出来たものだと思います。自分の過去の出来事や感情までもすべて登録しておいて、その制度に登録している者同士には共通の話題をコンピューターが探してくれるので、初対面通しでもきまずい思いをすることがありません。
それはTwitterなどでお気に入りのことをつぶやいていたら共感してくれる人とたまたま盛り上がるというものにも似ているかもしれません。
面白いものは何年たっても面白いんだなと思いなおせる一作です。
3位 「はじめての例」(「夜のかくれんぼ」より)
「願いを3つ叶えてもらう代わりに魂を売らなければいけない」・・・悪魔に何かをお願いするときはこういう決まりがあるというのは聞いたことがある人も多いと思います。
その決まり事を逆手に取った痛快な物語です。下手なことを頼んで失敗してしまっては意味がないけど、何をお願いすればいいのか一番自分にとって得になるのかわからない・・・。登場するふたりのお願い事を読んで、いつくるかもわからないですがチャンスを逃さないようにしようと悪魔対する覚悟が出来たように思います。
2位 「いそっぷ村の繁栄」(「未来いそっぷ」より)
誰もが知ってる「イソップ童話」を星新一が描くとここまで変わってしまうのかとびっくりしてしまいました。
「アリとキリギリス」「オオカミがきた」などいくつかの有名な寓話をまとめて「いそっぷ村の繁栄」というタイトルがつけられているのですが、そのなかでも私が一番気に入った作品が「北風と太陽」です。
あんなに気持ちよく勝利する原作版の「太陽」ですが、現代であれば確かにそうなってしまうよな・・・とつい納得させられてしまう新しい「北風と太陽」に気持ちよささえ感じてしまいました。
1位 「シャーロック・ホームズの内幕」(「ちぐはぐな部品」より)
大好きな「シャーロック・ホームズ」が星新一色に染まったらいったいどんな風になるのだろう、と目次で見た瞬間からわくわくしていましたが、読みながら思わずにやにやしてしまう場面が連発します。
シャーロック・ホームズを読んだことのない方でも、名前くらいは聞いたことがあるのではないかと思われるあの「赤毛連盟」をモチーフにした、その前日談(?)にあたる物語になっています。こんなホームズ見たくなかった、と思いながらもついつい読んでしまいます。
ワトソンとホームズは原作ではとても良き相棒なのに、この話ではただの頭の切れるちんぴら同士がつるんでいるといった感じで、その悪さ加減もまた絶妙です。
ホームズにあまり詳しくなくても星新一ワールドは全開なので楽しめること間違いなしです。
ということで、いかがでしたか?
今回紹介したのは星新一さんの作品の中でもごく一部、まだまだ面白い作品はたくさんあるので、ぜひ他のサイト等も参考にしながら、読み進めていただければと思います。
一つ一つのお話は非常に短くまとまっているので、普段は読書をしないという方でもきっと読みやすいと思いますよ!