高校生のみなさん、高校生の息子さん娘さん、親戚がいるみなさん。また、その先生方。
以前、中学生におすすめの小説ランキングTOP10を紹介しましたが、今回はそれより少し大人の高校生におすすめの小説を紹介します。
どれも私自身、高校生の頃に読んで非常に刺激を受けたものです。
高校生が主人公の作品を中心に選びました。すでに本をたくさん読む高校生には是非押さえておいてほしい本ばかりですし、普段あまり本を読まない高校生はこれをきっかけに読書を好きになってほしいと思います。
目次
10位、ネバーランド/恩田陸
伝統ある男子校で寮生活をおくる少年たち。年末、4人の少年が居残りすることに。人けのない寮で起こる事件を通して明らかになる「秘密」とは。奇蹟の一週間を描く青春ミステリー。
恩田陸おすすめ小説ランキングTOP7!でも3位にランクインしている、恩田陸さんの代表的青春小説。
進学校の男子寮で、4人の男子高校生がそれぞれ抱えた「秘密」を語り合う…。まるで読み手が男子寮の5人目のメンバーになれたような感覚になれる作品です。
なんか男子っていいなーと思える作品でした。いろいろ抱えていても、女子よりどこかピュアというか。とにかくキャラクターが魅力的です。
9位、青の炎/貴志祐介
櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。
こちらも高校生が主人公の作品!ザ・青春ミステリーです。
貴志祐介さんの本は本当に怖いものもありますが、こちらは読みやすく、怖いミステリーよりは「泣けるミステリー」。二宮さん主演でドラマ化もされています。
誰かを傷つけてしまいたくなる、怒りや悲しみ、憎しみ。そんな誰しも味わってしまう自分の中の黒い部分。それとどう向き合うか、非常に考えさせられます。
8位、告白/湊かなえ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
あらすじだけでもう絶対面白そうな、湊かなえさんのデビュー作。当時中高生だった方々は、これをきっかけに本を読むようになった人も少なくないのではないでしょうか。
厚みもそんなになく、テンポよく事件が読み解かれていくので小説をあまり読まない人でも読みやすいです。
誰も幸せにならないストーリーではあるのですが、読んだ後はスカッとします!気持ちいい!!
高校生が一番共感するのは、やっぱり中学校の生徒たちですかね。
ある事件をきっかけに不登校になった同級生、馴れ馴れしく下の名前で呼んでくる新しい担任。そんな日常に対して言葉にできない、誰にも言えないモヤモヤを抱えて、人には言えない趣味にハマって。私も過去に思い当たる節があります。
7位、ノルウェイの森/村上春樹
限りない喪失と再生を描く究極の恋愛小説!
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
まあ高校生になったら一つくらい村上春樹さんの作品を読んでおいたほうがいいだろう、ということで(笑)海辺のカフカと迷いましたが、ノルウェイの森を7位に選びました。
村上春樹さんの作品って、読んでいても正直正しく理解できている気がしないものが多いのですが(笑)これは登場人物のキャラクターがわりとわかりやすく、そして非常に魅力的なので読みやすいです。
私は中学の頃に初めて読みましたが、村上春樹さんほど性的描写をしっかりする作家の作品をそれまで読んだことがなく、正直その印象ばっかり残ってしまいました…(苦笑)2回目を読んだらそんなこともなくなりましたが。
しかし個人的には、ネットに溢れるさまざまなR18コンテンツに触れる前に、小説を通して性に関する自分なりの考えや知識、印象を持つのはすごくいいことだと思います。
6位、桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ
田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。
神木隆之介さん主演で映画化されたので、映画だけは見たことあるという人もいるかもしれません。青春小説といえばこの人、朝井リョウさんの作品です。
これもどこにでもあるような高校が舞台。なんと執筆当時の朝井リョウさんの年齢は19歳!ほとんど高校生なんです。
それだけあって、学校生活はかなりリアル。あいつのほうが俺より上で、あいつのほうが俺より下。そんな絶妙な、スクールカーストとも言い切れないくらいの、でも確かにある上下感なんかを上手に描いています。
メインで描かれる5人は、部も校内での位置もぜんぜん違うので、きっと誰かに自分を重ね合わせてしまうと思います。
5位、白夜行/東野圭吾
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
ドラマ化も映画化もされているこの作品。分厚いので本を読み慣れていないと少し抵抗があるかもしれません。文庫本版で800ページ超えてます。
そして文量だけでなく内容も重ための作品です。
主人公は桐原亮司と西本雪穂という男女2人なのですが、この作品の特徴は2人が一切心情を語らないところです。読み手は周囲の人から見た2人の印象しか知り得ることができません。読んでいて結構頭を使います。時間のあるときにじっくり読んでほしいです。
ミステリーとされていますが、私は最強の恋愛小説として読んでいました。罪を共有する男女って大好きなんですよね。悪趣味かもしれませんが(笑)
4位、ふがいない僕は空を見た/窪美澄
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
高校生のおすすめランキングとしてこんな位置に挙げてしまいましたが、これR‐18文学賞大賞なんですね、もしかしたら少し早いのかもしれません(笑)
「ふがいない」短編作品5つから成り立っていますが、5つ全てに共通するのは「ふがいない」のに暖かく愛情が感じられる作品だということ。
あらすじだけ読むと刺激が強すぎるというか、あまりいい話ではないかと思われるかもしれませんが、性を通して「生」について赤裸々に綴っている作品です。
3位、SPEED/金城一紀
頭で納得できても心が納得できなかったら、とりあえず闘ってみろよ―。平凡な女子高生・佳奈子の日常は家庭教師の謎の死をきっかけに、きしんだ音を立て始める。謎を探る佳奈子の前に立ちはだかる敵。そして、偶然出会った風変わりなオチコボレ男子高校生たちに導かれ、佳奈子は歪んだ世界に敢然と立ち向かうことを決心する!大人気のザ・ゾンビーズ・シリーズ第3弾。
タイトル通り、スピード感のある青春小説。ここまで紹介してきた作品は男子高校生がメインのものが多いですが、これは女子高生が主人公。
ゾンビーズ・シリーズの3弾ではありますが、2弾までを読んでいなくても十分読めます。
悪いものは悪い!戦って自分が変えていかなきゃ!そんな風に思える芯の強い作品です。
読書感想文などにも使いやすいテーマで、軽い読書におすすめです。
2位、池袋ウエストゲートパーク/石田衣良
刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団。池袋西口公園にたむろするハイティーンたちを主人公に、ストリートの「今」を鮮烈に描く青春群像。オール読物推理小説新人賞受賞作。
池袋を一度でも訪れたことがあるならぜひ読んでほしい!そうでなくても、高校生活でちょっとワルいことしてみたくなったことがあるなら必ず読んでほしい作品。TOKIOの長瀬智也さんが主演でドラマ化されました。
いわゆる「不良漫画」を小説にしたみたいなストーリーです。登場人物がカッコイイ。
ストリートで生きる主人公の語りで話が進むので、難しい言葉なども少なく非常にわかりやすいです。自分は頭良くないから本なんて読めない、そう思っている人にこそ読んでほしい!
大人になってからでも十分楽しい作品ですが、高校生のうちにしか感じられない感想があるはず。男子高校生は絶対読んでほしい。必ず、ちょっとだけ強くなれます。
1位、エイジ/重松清
ぼくの名前はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった――。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?……家族や友だち、好きになった女子への思いに揺れながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。
中学2年の主人公の成長が、緻密にとにかくリアルに描かれています。中学高校の入試問題にも何度か選ばれているようですね。
まるで自分のことを描かれているみたいで少しいやになるくらい、不安定で敏感で懸命な思春期が読み手に迫ってきます。
重松清さんほど小中高生の絶妙な感情をそのまま伝えられる人は、ほかにいないと思います。
自分にとって何が大事なのか、そしてその大事なものとどう向き合えばいいのか。キレてしまいたくなったとき、読んでみてください。
以上、高校生におすすめの小説を10作品紹介しました。
正直全部読んでほしいですが(笑)何か気になる作品があれば是非手にとってみてください。
高校生のうちに出会えた素敵な本は、それから先ずっと人生に寄り添ってくれるはずです。