何者/朝井リョウ【あらすじ・感想・ネタバレ有】

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2016年に佐藤健さんや有村架純さん主演で映画化された「何者」!
青春小説で評判が高い朝井リョウさんの小説ですが、気になるけどなんだかんだ読めていないという人も多いのではないですか?

そんなわけで、あらすじを紹介します!

ちなみに後半にはネタバレがあるので、既に読んだ方は「それな〜」と共感していただけると嬉しいです。

ネタバレ読んでから本を買ったり映画を見たいという人(わたしも結構やってしまいがちです)も是非最後まで読んでみてくださいね。

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何者のあらすじ

主人公は二宮拓人という大学生。

いろいろな偶然から、拓人は「就活対策本部」として男女数人で結束し、一緒に就活に向けてエントリーシートを書いたり、気軽にコピー機を借り合うような関係を作っていきます。

「何者」はこの男女数人の就活を巡る人間模様の話です。
ここでは少しずつ、それぞれのメンバーを紹介します。

まだネタバレはありません。
ネタバレを読みたい方はページ下部までスクロールすると早いですよ!

「就活対策本部」メンバーの1人目は、拓人とルームシェアをする元バンドマンの神谷光太郎。場を盛り上げるピエロにもなれるが、実はいろいろ考えている鋭いやつ。モテそうな男です。

2人目は、光太郎の元カノの田名部瑞月。就活では「留学」「インターン」を武器に活動しています。この小説の中で、ある意味一番普通の子です。

3人目は瑞月の友達、小早川理香。いわゆる意識高い系女子で、大学の就職センターに通い面接練習を繰り返したり、企業のOB訪問に勤しんでいます。いますよね、こういう女の子。隙を見せないかんじの。

Twitterにいちいち「今日の面接は上手くいった気がする!結果はわからないけど自分自身は成長できたかな〜。今から友達とお疲れ飲み会!」とか無駄に前向きなツイートをするタイプです。

そしてこの「就活対策本部」に加わってくる4人目のメンバーが、瑞月の彼氏である宮本隆良。
最初は就活なんて興味がない素振りを見せるが、徐々に就活への姿勢は変化していき、メンバーとの関わりも深まります。

読者は拓人を通して世界を見る

主人公の拓人はこんな仲間たちを、どこか遠くから見つめています。
拓人は友人からも観察者のようだと揶揄されたり、他人の分析が得意だと言われる人物。

私たち読者はこの拓人が読み取った就活対策本部を通して、拓人のことも読み取っていくのです。

ではここからはおすすめのポイントを紹介します。
まだネタバレはありませんのでご安心を(笑)。

何者のおすすめポイント

現代の「就活あるある」がたくさん

エントリーシートの相談に大学に行ったり、OB訪問に行ったり、仲間の面接結果が気になったり。
「何者」では、就活を体験したことがある人なら懐かしく思えるであろうエピソードがたくさん登場します。

「ああいう業界は興味ないから」と言いながらも、こっそり選考に申し込んでみたり。皆さんも経験があるのではないでしょうか?

私も数年前に就活をした身なので、自分の経験を思い出して、ちょっと病みそうになりました(苦笑)。

表ではいい顔してるけど裏の顔があるアナタにおすすめ

「何者」の登場人物は、集まった時にはみんな笑って話いても、内面ではいろいろなことを考え、またそれを別の場所で発信しています。

性格の悪いあなたなら、きっと共感する場面も多いでしょう。

また、彼らが発信するTwitterの内容も描かれているので、SNSが普及したゆとり世代以降なら、よりリアルに楽しめるはずです。

小説の冒頭には登場人物のTwitterアカウントが一覧になっているのですが、SNSにかなり親しんでいる私は、彼らのプロフィールを見ただけでもうキャラの想像がつきました(笑)

何者の感想

「桐島、部活やめるってよ」が代表作である朝井リョウですが、本はなんだかんだ読んだことがなかったので(「桐島」の映画は見ました。神木くんがよかったですね。)、正直最初は少し読むのに抵抗がありました。

どうしても若者向きすぎる気がしていたので。また、映画の予告を見てしまっていたので、なんとなく青春恋愛小説みたいなものを想像してしまっていたんです。

しかし読んでみると、まあ確かに青春恋愛小説ではありますが、きちんと「なるほど、そういうことか!!」と思えるポイントもいくつかあり、想像より読み応えのある作品でした。

最後はスカッとできる、人間たちはドロドロだけどとてと爽やかな本です。

就活中の人、就活をする予定がある人、就活をしたことがある人、またどこかの企業で新卒採用をしている人や、新入社員と関わることがある人。
こんなみなさんに是非おすすめしたいです。

さて、ここからはネタバレに入ります!!!!

まだ読んでいない方は、↓の作品紹介以降は読まないようにしてくださいね!

何者のネタバレ

SNSって自分のなりたい姿の投影ですよね

「何者」のなかで度々出てくる登場人物のTwitter。皆さんもやってる人多いですよね。

自分のアカウントも含めて考えてるとわかりやすいですけど、たぶんSNSって「そのままの自分」を表現してるわけじゃなくって、「自分ができる最大限の状態の”こう見えていたい自分”」を表現してませんか?

小早川理香のツイートがまさにそうですよね。

昨日はESふたつ出した後、キャリセンに行って模擬面接もしてもらった。「常連さんだね」って笑われちゃったり(笑)。すーごく貴重なアドバイスをいただいた。自分の中で軸が固まってきてる分スムーズに話せちゃうから、早口になりやすくなるんだって。意識するって大事!次の面接で活かす!

いやー、うるさい知らないわってかんじですよ(笑)20代だとなんだかこういう投稿を懐かしく感じる人もいるはず。

しかもこの時点で理香はまだ面接を受けるところまで選考が進んでないんです。
それを想像する拓人は、作中では特にそんな描写はないですが、まあ内心あざ笑っていたんでしょうね。ちょっと気持ちはわかりますが。

常に共存する”良い性格”と”悪い性格”

読んだ人はご存知ですが、拓人はまあ性格が悪いです(笑)というよりも、人への妬みとかが出やすい体質。自分と相手を常に比べてしまって、自分が安心したいから、いちいち相手を見下したり悪く思ったりしてしまうんです。

でもそんな拓人でも、少し素直になれる瞬間があります。それは一緒に暮らしている光太郎の元カノである瑞月と一対一で向き合うとき。
本人もその感情を自覚しているようですが、拓人はなかなかその気持ちを表現することはできません。そして、本音を書くはずであるTwitterの裏アカウントにも、瑞月への感情は書きません。

そこは本音を書く場所というわけではなく、自分とは違う「何者」かになれる場所だからです。

「何者」かであろうとする若者たち

この小説は就活やSNSを通して「何者」かになろうとする若者たちを描いたものです。

瑞月は言います。

今までは「小学校を卒業したら中学生」、「中学を卒業したら高校生」と自動的に変わっていけたけど、大学をでたら、自分から何かしないと自分の肩書きは変わらなくなってしまう。自分で選んで、つくっていくしかない。

確かにそうです。私は社会人である今、自分から環境を変えようと思わなければずっとこのままなんですよね。

社会人である私はいいですが、就活中の学生たちはきっとどこかでこう思ってるんでしょう。

「内定をもらわなければ、何者でもなくなってしまう」

これを恐れて、必死になるんです。

だから、就活に必死な人(理香や、ある意味で拓人)ほど自分が見えていないんだと思います。

本当の自分よりも少し上の、なるべく優秀な「何者」かになろうと必死なんですね。

「どんな人でもいいからただ何者かでいたい」
そう感じている人は小さな企業も含めていろいろな会社に選考を申し込み、内定をもらえる人が多いのではないでしょうか。

または、瑞月のように、すでに自分が「何者か」をわかっている人なら。

俺、これから何もしなかったら、今の俺のままじゃん、これから先ずーっと

光太郎のこの言葉も同じです。

拓人は実は2回目の就活・・

この小説で一番驚いたのは、終盤で明かされた『実は拓人は就活浪人をした就活生2年目』という事実。

確かに物語の途中で、拓人が「お前ほんとにまだ大学にいるんだな」と言われていたり、そう言われてみると不可解な点はいくつかあります。

でも映画の予告も見てしまって、だいたいのストーリーの予測を自分の中で立ててしまっているとなかなか気づけないです。

まあでも、こう言われると映画のキャスティングで一人だけ老けている佐藤健にも納得がいくかもしれません(笑)

拓人への理香の攻撃が気持ちいい

「何者」の見どころといえば、間違いなくここでしょう。

拓人のTwitter裏アカウントを知っていて、ずっと読み続けていた理香が、拓人が内定をもらえない理由をグサグサと指摘するシーンです。

拓人は、キャリアセンターに何度も足を運んだり、就活用に名刺を作ったりする理香を嘲笑うことで自分を少しだけ上に感じていました。
しかしその理香に自分の弱い部分を指摘されてしまいます。

理香はこう伝えます。

就活に必死になって、インターンやらボランティアとかに行って、その話を毎回毎回並べて。社会人と交換するために名刺を作ったり、それはダサくてカッコ悪いかもしれない。

けど自分は自分以外の何者にもなれない、私はダサくてカッコ悪い自分でしかいられないから、笑われたってこれを続ける。

拓人は観察者ぶってるだけで何者にもなれていない、友達が内定をもらった企業がどれだけブラックか調べて、自分より他人が不幸であるように願って、そんなんで内定もらえるわけない。

拓人は反論なんてできません。

友達が内定をもらった企業について調べたり、それは理香もやっていること。

しかし拓人が「何者かであろうとして」そうしてるのと違い、理香は理香として、自分が戦い続ける術としてそうしているんです。

私は彼女をとても応援したくなりました。

エンディングは正直「はい、よかったね」って感じ(笑)

そんな理香の指摘を受けてた拓人が、また企業の面接を受けるシーンが、「何者」の最後です。

長所と短所を聞かれた拓人はこう答えます。

短所は、かっこ悪いところ。
長所は、そらを認めることができたところ。

理香の指摘で、拓人は観察者ではなく、きちんと自分の言葉で自分を表現し、今まで自分をそうだと認めることが、怖くて笑うことしかできなかった「ダサくてカッコ悪い自分」になることができたのです。

・・・うーん。私はあまりハッピーエンド大好き人間ではないので、正直ここまで爽やかに終わられるのは慣れてなくて、少し戸惑いました。

まあ、よかったね。ってところですね。

果たして拓人は今後内定をもらえるのでしょうか?理香は?

そのうち理香とくっついたりしちゃいそうですよね。

まとめ

「何者」のネタバレを含めたレビューをずらずらと書きました。
正直予想より面白かったので、若い人にはおすすめです。高校生から20代向けってかんじ。

しかし就活をしていたのがまだ数年前である私としては、40代以降の人、内定を出す側の人に読んでもらって、ぜひ感想を聞きたいなと思います。

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